Voicy Journal

音声コンテンツの魅力を語る。「音声メディアVoicyの未来」とは

音声コンテンツの魅力を語る。「音声メディアVoicyの未来」とは

こんにちは!Voicy広報の田ケ原です。

8月8日、下北沢にある「これからの町の本屋」B&Bにて、Voicy代表の緒方が博報堂ケトル代表の嶋さんと対談させていただきました。

今回のイベントは、音声コンテンツが大好きな二人が意気投合したことで企画されたもの。

Voicyが考える「音声メディアの未来」とは一体どんなものなのでしょうか?
ラジオや音声コンテンツが大好きな嶋さんと音声の魅力に迫った深い夜を、みなさまにもお届けします。

出演者プロフィール

嶋浩一郎(しま・こういちろう)
博報堂ケトル代表取締役社長・共同CEO
93年博報堂入社。コーポレートコミュニケーション局で企業の情報戦略にたずさわる。01年朝日新聞社出向、『seven』編集ディレクター。02~04年博報堂刊「広告」編集長。04年本屋大賞立ち上げに参画。06年既存の手法に縛られない課題解決を目指しクリエイティブエージェンシー博報堂ケトルを設立。主な仕事、資生堂、KDDI、J-WAVEなど。2012年東京下北沢にブックコーディネーターの内沼慎太郎と本屋B&B開業。

 

緒方憲太郎(おがた・けんたろう)
株式会社Voicy代表取締役CEO
大阪大学基礎工学部卒業。2006年に新日本監査法人に入社し、その後Ernst & Young NewYork、トーマツベンチャーサポートを経て起業。ビジネスデザイナーとして、複数のベンチャー企業の顧問にも就任し、事業計画、資金調達、組織戦略、PR戦略、企業連携、その他社長のメンターやネットワーク構築を行う。公認会計士でもある。

二人が音声コンテンツに惹かれた理由

嶋:今日はゲストに、「Voicy」という音声コンテンツメディアを立ち上げた緒方さんをお呼びしています。

まず、Voicyを知らない方のためにも、Voicyはどういうサービスか、説明してもらえますか?

緒方:Voicyは始まってから1年9ヶ月のインターネットサービスです。
リリースしたときは、「VRや動画の時代に音声で起業してバカなの?」「斜陽産業じゃない」とめちゃくちゃ言われていました。

だから当時は、Voicyの説明をした最後に「え、本当に儲かるんですか?」「本当に伸びると思ってるんですか?」なんて言われることばかりでした。

でも、もともと僕は声や音声の世界が好きで、届くものに、感情と頭の回転、間や心理状況とか、いろんなものが乗っていることに可能性を感じていました。

だから、「IT化したらもっとたくさんの人に届くのでは?」「もっとたくさんの人が話せるのでは?」なんて考えてつくっています。

嶋:これはどういうシステムなんですか?いろんな方のチャンネルがあって、そこに音声コンテンツを乗せて、ユーザーの人たちはこれを聞けるんですか?

緒方:そうですね。Voicyの特徴としては、今は審査制でチャンネルを開かせていただいていますが、いろんな方が1人1つ、放送局を持っているような形です。

「Voicy Recorder」というアプリで収録をして、放送する。今は全部で250チャンネルほどあります。

嶋:Voicyにはトラディショナルなラジオ好きにとって気になる人もチャンネルをもってるんですよね。たとえば、笑福亭鶴光さん。80年代のオールナイトニッポンでパーソナリティをしていたラジオスターですよね。

その時代、鶴光さんは毎週ニッポン放送のスタジオに通ってたわけですよね。つまり、プロデューサーとディレクタ—がいて、ちゃんとした放送機材があるスタジオに行かないとラジオの放送ってできなかった。でも、いま鶴光さんはスマホに向かって話してるってことですよね。

緒方:そうです。鶴光さんのチャンネルは「わんばんこ〜」って新幹線の中で収録してくれていたりするんですよね。

嶋:新幹線の座席で収録するなんていう時代が来るなんて思いもしなかったですよね。

最初にお話なさってた「声が好き」って話ですけど、僕は声ってオワコンだと思っていなくて可能性を感じています。視覚は奪われると他のことはできなくなるけど、聴覚はうばわれてもながらができる。そこがチャンスだと思うんですよ。自分は昔、ハガキ職人だったんで音声コンテンツメディアが注目されるのは嬉しいですね。

ちなみに、ハガキ職人はハガキを持つと何枚かわかるんですよ。なぜなら、ハガキって小中学生にとっては高価だったから。で、ハガキ職人は2派閥に分かれるんです。ラジオ局に送るハガキ1枚に10ネタとか書きこむ派閥と、1枚のハガキに1ネタ書く派閥。

僕は1枚のハガキに1ネタ書いて、勝負ポストに投函していました。ハガキ職人は「このポストから投函すると読まれる!」っていう勝負ポストをもってるんですよ。もちろん、「このポストに何時に入れれば文化放送に○時に届く!」とかそういうことも計算していましたよ。

番組の中でパーソナリティが「火曜日にお便りをチェックしている」って言われたら、「なるほど。火曜日までに送らないと今週の木曜日には読まれないんだ」って逆算して勝負ポストに投函していました。

音声コンテンツは”銀座のママ”理論

嶋:緒方さんが音声サービスを始めた理由は?

緒方:そもそも、僕は音声コンテンツというよりは、人の話が好きでした。だから、人を届けるメディアを作れたらもっと面白いんじゃないかと思っています。例えばニヒって笑うとか、わかる〜!と思うような、自分とシンクロする時間というのがものすごいいいなと思っていました。動画と比べて想像力が掻き立てられるので、与えられたものそのまま受け入れる以上に面白い世界が広がるんじゃないかな、それが音声コンテンツの強みじゃないかなと思っていました。

嶋:それすごくわかります。僕、ラジオは塗り絵だと思っているんです。つまり余白がある。聴覚だけを使うメディアっていろいろ想像できるんですよ。

あと、テレビや動画とラジオや音声コンテンツの違いでいうと、「みなさん」ではなく「あなた」と伝えるところですよね。ラジオはなんだか”この人が自分一人に話しかけてくれている”という、1対1の感覚があるんですよね。

緒方:わかります。今回のイベントも、目をつぶれば自分と3人しかいないような感覚が生まれる気がします。その声の可能性がすごい。

嶋:僕はラジオは”銀座のママ”理論だと言ってるんです。

銀座に通う男たちは、「ママは俺のこと好き」ってみんな思っている。でもそんなことないでしょ、みたいな。なんであんな素敵な幻想を抱かせさせるのか。ラジオはひとりの時間を独占するんですよね。

緒方:自分で想像してわかったとか、ニヒって思う感覚はすごく達成感や独占欲を生むんでしょうね。

声は「体の一部」である

緒方:発信者が一番嬉しいのは、リアルであったときに「聞いてます」って言われることなんだそうなんですよ。聞いてますって言われたときの、申し訳ないけど嬉しいみたいな

嶋:なんで人は「見てます」より「聞いてます」って言われるほうが気持ちがいいんですかね。

耳が一番感受性が豊かなんですかね。

緒方:去年知った話で、うわすごいなと思った話があります。”声には身体性がある”というものです。声が体の一部だと思われているんじゃないかって。

そのことが、人々を笑わせたり考えさせたりするノーベル賞「イグノーベル賞」で証明されたんです。

この賞では、「長くダラダラ話す人の話を途中で止める方法」の研究結果が評価されていました。内容は、自身の話した言葉を0.2秒間だけ相手に遅れて聞かせることで、相手の発話を妨害するという。相手はうまく受け取れないことに違和感があって話すのを止めてしまうんです。

つまり声を聞かすということは、自分の体の中のものを相手に入れる。逆も然りですが、うまく受け入れられないと拒否反応を起こしてしまう。

嶋:なるほど。マクルーハンという人が「グーテンベルグの銀河系」という活発印刷技術の出現によって何が変わったか分析した本をだしているんですが、活版印刷以前以後で人は音読から黙読に変わったんです。彼は音読してた時代の方が人間の感性が開いていたはずだって分析している。

声を出すことが感覚的、直感的なことで、声を出すことは自分の感情をストレートに出すことなんですよね。僕はそれがすごいわかるんですよね。

ラジオとVoicyの違いは「発信者のリアル感」

嶋:ラジオとVoicyの違いはなんだと思います?

緒方:Voicyにはディレクターがいないことだと思っています。

配信者自身が試行錯誤しながら番組をよくしていく。

嶋:ディレクタ—がいる方がいいのか、いない方がいいのかに関しては、判断がむずかしいですよね。アマゾンが作家が誰でもかけるようにしたことで編集者が介在しなくなったけど、編集者が入ってつくる小説のクオリティはやっぱり高い。

緒方:そこは、ラジオと並存するものだと思っていたので、ルールがあって決められた尺の中で見せるというよりも、生の考えをそのまま届けるとするならまた違った楽しみ方があるんじゃないかなと。

嶋:それが許されるのは、ながらで楽しめるコンテンツだからですよね。

緒方:最近のコンテンツは、出したらすぐ課金させるものが多いです。お金稼ぐためにコンテンツ出してますって、お金をとるありき。そりゃ面白いコンテンツはできないなと。

でもテレビ業界を勉強していたら、まず楽しませてからお金とってることに気付いたんですよね。面白いコンテンツってまずどうやったら面白くなるかを工夫していて、受け手のために媚びたものはないんです。

なので、僕たちもユーザー課金は当分しない、投げ銭はぜったいやらないと決めました。

あと、新しい文化を作るときは、クラシックとかもそうですが、なにか大きなスポンサーが応援してくれるから番組ができたりコンテンツができていたと思っていました。

なので、「よし、ITではなかなかないけど、テレビ以来のスポンサーモデルを絶対作ってやろう」と。トップのメンバーにはスポンサーがついたいま、やっと新しいスポンサーの形にチャレンジできています。

新しい文化をつくるには「好きと好きを繋ぐ」こと

緒方:他のコンテンツとの違いはもう1つあって。一部のところだけは聞こえるけど一部課金みたいな、そういう不具合を提供しといて、その不具合を解除することでお金をとるという手段を取らないこと。ユーザーが萎えちゃうし、好かれないんですよね。

嶋:不具合を提供しておいて、それを解除して換金するのはウエブビジネスの常套手段ですが、それをやらないってことですね。

緒方:Voicyは好きになって欲しかったんですよ。あったかくて好きってことをどう実現するかを考えていました。そうすると重課金者は産んではいけないなとか、気持ちよく払って欲しいなとか、シナジーを生みたいなとか、僕の中では思っている。

そうやってずっと頑張っていたら、Voicyがめっちゃ好きだと言ってくれる人も出てきたんです。そんなとき、面白い苦情が出ました。「金を払わせろ」と。課金ポイントがないぞ、お金稼ぎできなくてサービス終了とかするなよと。

嶋:NHKの受信料を先に払うみたいな感じですね。

緒方:本当にそうで、そう思ってもらえるのは嬉しいがどう見せよう?と思ったんですよね。

それが、Voicyの応援団です。声援を送ることを1000円を送るとして、お祭りの提灯にたとえて口数に合わせて提灯の大きさを変えました。Voicyはお祭りです。と。

そしてその提灯は、提灯サイトに今月の提灯として名前と一緒に飾られるようにしました。これが8口まであって、口が大きいと提灯が大きいんですけどね。

Voicyを好きで輝かせたい人がそこを照らせばいいんじゃね?ということにしました。

そしたら、払う人がいるんですよね。いやもう、これは1000円だけど、10000円以上に嬉しいんですよね。だって無料で聞けるんですよ?それをわざわざ払ってくれるんですから。

これでビジネスが成り立つかは別として、そういうところの、”嬉しい”と”嬉しい”の源泉のところを繋ぐのは、文化を作るときに一番大事だと思っているんですね。

そしてその源泉で生まれた渦を明確に出して、ちょっとずつ広げていけばきっと形になると思っているんです。だから今回その源泉の部分ができて嬉しいですね。

嶋:Voicyにはラジオ局のプロデューサーやディレクタ—には作れないものがありますね。ラジオ番組をつくっている人にもヒントになる。そういうセッションが生まれるといいですね。音声コンテンツの新しい時代が来るといいなと思います。

緒方:ありがとうございます。

よく言われます。Voicyはラジオなのか、なんなのか?と。

嶋:僕はラジオって言ったほうがいいと思いますよ。ラジオの概念を変えたのがVoicyと言わせたほうがかっこいいじゃないですか。

今日はありがとうございました。

音声の可能性を感じた夜

当日会場で話を聞いていた私は、嶋さんから出る一言一言がとても新鮮に感じました。
また、嶋さんの質問に答える緒方さんの言葉からも新しい発見が多く、二人の対談に引き込まれ、気付いたらあっという間に2時間が経過していました。

私たちが考える音声コンテンツの未来。
これからも新しい声の文化を、試行錯誤しながら広めていきます。

 

会場:本屋B&B
http://bookandbeer.com/about/

この記事を書いた人

株式会社Voicy広報田ケ原 恵美
2017年4月、文化放送とVoicyのコラボ企画で生まれた「働き女子♪パーソナリティ」1期生に選出され、ボイスメディア「Voicy」でチャンネルを開設。2018年には株式会社Voicyに広報としてジョインし、「Voicy」や企業の魅力を発信中。
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