Voicy Journal

ももクロの運営から学ぶビジネス成功の鍵

ももクロの運営から学ぶビジネス成功の鍵

みなさんこんにちは!Voicyのももクロ大好き窪田です。

先日ライブへ行った際にももクロのビジネス書を購入したのですが、Voicyにも共通する部分や学べる部分が多くあり、ぜひみなさまにも共有したいと思い筆をとりました。

音声市場の盛り上がり

日本では2017年10月に初のスマートスピーカーが発売されましたが、その約1年前の2016年9月にVoicyはリリースされました。しかし、当時音声市場に注目している人はほとんどおらず、サービスの船出はけして順風満帆とは言えませんでした。動画があるのに音声なんて誰が聞くの?うまくいくとは思えないと言われたりもしました。

しかし、現在は音声市場が非常に注目されております。アメリカではPodcastが急成長し、日本でも音声サービスが次々と出てきて市場を盛り上げています。昨年末にはFacebookもスマートスピーカーを発売し、これでGAFA全てが音声市場へ参入したことになります。

Voicyの成長

音声市場が盛り上がりを見せる中、手前味噌ではありますが、Voicyは日本の音声サービスとしてはそこそこ名前を知っていただける程度には成長できたのではないかと思っています。そこにはユーザーの皆さんの支えがあったことはもちろんですが、ラジオやPodcastといった既存の音声サービスには無い特徴を持ち、ユーザー数やアプリダウンロード数といった、駆け出しのベンチャーがつい追ってしまいがちな数値にとらわれない、独自の経営戦略を取ってきたことも大きな要因ではないかと考えております。

そして、そんな既存の常識を打ち破って成功した例はベンチャーに限らずあります。そう、

ももいろクローバーZ です!

ももクロ非常識ビジネス学

2008年にデビューしたももクロは、それまでのAKBを始めとしたアイドルグループとは一線を画した戦略を取ることで、既存のアイドルファンだけではなく、それまでアイドルに興味がなかった人もファンとして取り込み、ついには紅白歌合戦出場や国立競技場でライブを行うほどにまで成長を遂げました。そんなももクロの戦略を非常識ビジネス学としてまとめた本が「ももクロ非常識ビジネス学」です。今回はこちらから一部抜粋させていただき、Voicyとの共通点を見ていきたいと思います。

ももクロ非常識ビジネス学-アイドル界の常識を覆した47の哲学-小島和宏
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表現者を大事にする

マネージャーの川上アキラは常々「みんな小学校や中学校でこの世界に入ってきた。われわれは親御さんたちから彼女たちの人生を預かっているわけで、その責任はしっかりと果たさなくてはいけない」と語っている。

消費しない。疲労させない。
ただそれだけだったら、アイドルとしてスターダムを駆け上がることなどできない。それでは本末転倒である。だから、売れるために、話題になるために、他のアイドルがやっていないようなことをやる。それゆえ、どんどん「非常識」な要素が積み重なっていった。

Voicyには大きく2パターンのユーザーがいます。それは、音声を放送するパーソナリティと、それを聴いて楽しむリスナーです。人数比でいうとリスナーの方が圧倒的に多い状況です。

しかし、Voicyは会社創業前からパーソナリティファーストを徹底しています。声で活躍できる人を増やすということがサービスを通して実現したいことのひとつであり、パーソナリティがどうしたらワクワクするか、楽しく放送を続けられるか、Voicyをやっていてよかったと思ってもらえるかをとても大事にしています。

もちろんリスナーの数や満足度も大事ですが、そもそもパーソナリティのみなさんが面白いコンテンツを放送してくれることがサービスにとって最も重要なことであり、ダウンロード数やDAUといった指標はその結果でしかないのです。

未経験者による立ち上げ

ももクロの運営はアイドルのノウハウのないチームによって立ち上げられた。だからこそこれまでのアイドル業界の常識では考えられないような施策を続々と打ち出しつづけることができたのだが、その部分だけを見様見真似でやってみてもうまくいくはずがないし、これで一山当ててやろうという邪心があったら、なおのこと成功は難しい。なぜならば、ももクロにはそういった邪心がまったくないからである。

Voicyは音声業界のノウハウがないふたりによって立ち上げられました。ふたりで話してる中で自然に出てきたアイデアでも、業界の人からすごい新しいこととして驚かれたりすることもありました。

例えばBGMです。パーソナリティが収録するのは音声のみで、それを再生するとき自動的にBGMが追加されます。また、音声とBGMが別になっているため、再生速度を上げても音声だけが早くなりBGMの速度は変わりません。そのためスーパーマリオで残り時間が少なくなった時のような急かした感じになりません。他にもBGMの種類はリスナーが選ぶようになっていたり、音量も音声とBGMで別々に調整できます。

これらはパーソナリティがわざわざ自分で(権利も気にしながら)BGMを用意して、特別なソフトで合成や音量調整したりといったことを気にすることなく、手軽に、そして最も重要な面白いコンテンツ作りに集中してもらえるように考えた結果です。

既存の音声や動画では、コンテンツはBGMや効果音も含めたセットで作るのが当たり前でした。それを分けて、しかもパーソナリティが選ぶことができないことが、ラジオ業界等でコンテンツを作成してきた人にとっては非常識だったようで、自分たちでは絶対に思いつかないと驚かれました。

Voicyにはこういった既存の方法にとらわれない、パーソナリティファーストの工夫が随所に散りばめられています

チャレンジできる免罪符

今でこそ、スターダストプロモーション(*ももクロが所属している事務所)はたくさんのアイドルを抱える一大勢力に成長したが、ももクロが先鞭をつけるまでは、まったくと言っていいほどアイドルのマネジメントはしてこなかった。

だから、事務所にとって「稼ぎ頭」ではない。

もっと言えば、どんな結果になるかわからない新規事業である。それゆえに、会社からも「儲からなくても赤字にならなければいい」という、ありがたい免罪符をもらっている。

「赤字にならなければいい」というももクロのコンサートでは、さまざまな演出にお金をかけ、それが顧客満足度を極限まで引き上げる要因になっているのだ。

Voicyを創業したふたりはどちらも既に30代後半で、それなりの経験もあるため、いざとなれば生きてくための仕事を見つけることは決して難しくはありませんでした。そのため、もし事業が失敗しても、ふたりだけなら「残念だけど楽しかったね」で終わることも可能でした。

これは一歩間違うと甘えの免罪符ともなってしまいますが、Voicyではそれゆえに目先の売上に走らず、本当に自分たちが実現したい世界を追求することができたのです。

短期の利益より長期のビジョン

アイドル業界では「アイドルとは短期間で一気に稼ぐのもの」というのが常識になっている。
いわゆるアイドルの「旬」は15〜19歳と言われている。
そんな背景があるため、どうしてもアイドルは「旬」を売り急ぐ。

そのひとつが水着グラビアだ。
この10年間、彼女たちは一度たりとも水着になっていない。

水着になることでファンは彼女たちを「擬似恋愛の対象」として見るようになる。もっといえば性の対象になる。そうなると「旬」を過ぎたときに人気を持続するのが難しくなるし、肌の露出は一度やってしまうと「もっと、もっと!」となり際限がなくなる。だから、水着NGはももクロにとって「鉄の掟」なのだ。

現在のアイドルにとって「握手会は」極めて重要なイベントである。それによってCDが売れる。一見するとwin-winの関係になるのだが、実際にはそんなきれいごとでは済まない。何よりもアイドルの負担が大きい。

朝から晩まで立ちっぱなしで握手する。それだけでも疲れるのに、ほんのちょっとでも疲れた素振りを見せると「塩対応だ」と叩かれる。もっと残酷なのは握手会にできている行列の長さが、そのまま人気のバロメーターになってしまうということ。

そういったことをクリアしてこそ真のプロなのかもしれないが、10代の少女にそれを強いるのは酷すぎるし、肉体的にも精神的にも消耗度が高すぎる。

だから、ももクロは握手会をしない。

動画は既に生活の中で当たり前のように触れる存在となっていますが、音声はまだそこまではなりきれていません。私たちは音声で情報を収集したり、空いた時間を潰したり、楽しい時間を音声で過ごすのが当たり前という文化を作りたいと考えています。そのためにはまず稼ぐことよりも、聴くことの楽しさを多くの人に知ってもらう必要があります。だからVoicyでは全てを無料で聴くことができるのです。

ここ1,2年で音声のサービスは多く出てきましたが、そのいくつかはユーザーから課金する機能が付いていました。しかし、音声はまだ多くの人にとっては無くても困らないものであり、個人的にはそこへ課金する人はあまりいないだろうと予想していました。その通りだったのかはわかりませんが、実際そういったサービスの多くは残念ながら姿を消していきました。

決して課金が悪いわけではないのですが、ユーザーは本当にお金を払いたくて払っているのか、その結果だれがハッピーにるのかといったことをよく考えて設計する必要があります。Voicyにはファンラボ応援団といった有料のコミュニティがあるのですが、これらはまさしくそういったことを私たちなりに考えてたどり着いたひとつの形です。

ももクロの運営から学ぶこと

ここまでももクロとVoicyの共通点を見てきましたが、ひとつ大きく違うことがあります。それはシンプルに「成功しているかしていないか」です。

ももクロは結成当初から掲げていた紅白歌合戦出場や国立競技場でのライブといった目標を達成しており、現在の人気を見ても成功したと言えるでしょう。もちろん成功の定義はいろいろありますが、Voicyはどの定義に当てはめてもまだまだ成功してるとは言えないと考えています。

そこで、Voicyの成功のためにももクロの運営から学べる部分を探してみましょう。

自分が応戦するアイドルが一歩ずつ階段を上っていって、徐々に人気者になっていく過程を一緒に体感するという楽しみ方は確実に存在する。

ファンに「応援したい」「俺たちが応援してあげなくちゃダメなんだ」と思わせるのも、アイドルの才能のひとつ。

こういった連続ドラマの作り方は、結構オーソドックスな戦略でもあるのだが、本当に匙加減が難しい。いくら「応援したい」と思ってもらいたくても、ステージ上でのパフォーマンスがあまりにも未熟過ぎたら興行として成り立たない。最低限のクオリティを守りつつ、「今のままでは無理だけど、俺たちが応援すればなんとかクリアできるかもしれない」という絶妙なラインの試練を課さなければ、次なる集客には繋がらない。

上の方でVociyの事業が失敗してもいい免罪符の話を書きましたが、もちろん今はその免罪符はもうありません。Voicyを利用していただいている多くのユーザーのみなさまだけではなく、資産を預けていただいてる投資家の方々、何より人生を預けてくれている社員のみんなと一緒に、Voicyは次のステージに進んでいきます

ももクロの運営が行ったような絶妙なラインの試練を自分たちに課してそれを乗り越えていくというドラマをVoicyも繰り返していきます。そのために現在社内でOKRという目標管理手法を導入しようとしています。OKR導入の話についてはまた別の機会に社員の誰かが書いてくれると思いますので、楽しみにお待ちください。

最後に

アイドルグループにとって、メンバーの卒業や脱退は避けて通れない問題である。いや、むしろ、定期的にやってくるビジネスチャンスとして、うまく利用しているグループもあるくらいで、決して悲観的になる話ではない。

しかし、ももクロがチョイスしたのは「誰も入れない」。

それは卒業の日までは辞めていくメンバーが話題の中心となり、卒業ライブが終わった瞬間から、次の興行は新メンバーへと移る・・・つまり、まじめにつづけてきたメンバーだけが注目度の面では損をするということだ。「誰も入れない」というももクロのチョイスは「残っているメンバーをもっと見てあげてください」というメッセージでもある。

Voicyでは新メンバーを大募集中です!!

一緒に試練を乗り越えてドラマを作ってくれるメンバーを募集しています。もし私たちのグループVoicyへの新メンバー加入に少しでも興味を持っていただけたら、ぜひこちらをご覧ください!!


「逆境こそがチャンスだぜ」というももクロの歌詞にもあるように、ベンチャーは山あり谷あり楽しいことばかりではないですが、一緒にサクセスストーリを紡いでいきましょう!

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